暮らす+読書 特集01_図書館のある家 暮らす+読書 特集01_図書館のある家 暮らす+読書 特集01_図書館のある家

イメージしたのは、外を取り込む「町家」イメージしたのは、外を取り込む「町家」

小さな滝のように水が流れる様子から「ドンドコ」と呼ばれるいたち川。春には川沿いの桜並木が美しく色づく閑静な界隈にその住まいはある。
11年前、夫妻はこの地と出合った。「見に行ったのが桜の時期で、ひとめぼれしたんです」とご主人。設計は濱田修氏に依頼した。町中のコンパクトな敷地を見て濱田氏がまず思い描いたのは「町家」だった。
「通り土間からつながる中庭や、子持ち格子で視線を遮るバルコニーなど町家の要素を少しずつ取り入れた。外と内をあいまいにつなげることで光や風の感じられる家を目指しました」と濱田さん。
夫妻と4歳の息子さんの3人暮らし。家族の物語は、2階のワンフロアが主な舞台だ。漆喰風の塗り壁と黒木の床の落ち着いた色合いのLDK。北に大きく開いたバルコニーからは光と風が入り、川のせせらぎが耳に心地いい。2階で隣家の視線も気にならず、ごろんと寝転がれば窓からのんびり流れる雲が見えるだけ。もちろん桜の時期となれば、居ながらにしてお花見気分が楽しめるという。

一緒に本を読んだ記憶は、家族の宝物だと思う一緒に本を読んだ記憶は、家族の宝物だと思う

夫妻そろって大の読書家。「ジャンルは小説や趣味、仕事の本、漫画までいろいろ。
2人で1000冊は超えます。これらをすっきり収納できる家をお願いしました」。
2階に設けた3つの天井近くまである黒木の本棚は、パーテーションの役割を持ちながら、LDKと書斎、子ども部屋を緩やかにつないでいる。
夫妻はここで息子さんが赤ちゃんの時から絵本を読み聞かせをしてきた。時にリビングの床に寝転びながら、階段に座りながら。「小さな図書館」は、親子のつながりを育んできた。
本棚の一角には、息子さんのお気に入りの絵本やおもちゃを飾ったコーナーもある。
家族で本を楽しむ時間は、小さな心にも当たり前の風景として刻まれている。
居心地のいい家には人が集まる。「夫も私も料理して誰かに食べてもらうのが大好き。子育て世代の友人を招いてはしょっちゅう食事会を開きます」。いつでも片付いて人を呼べるようにと、キッチンの食器棚は天井までたっぷりと設けた。そこに夫妻が一つ一つ大切に選んできた器が並ぶ。
11年という月日が流れ、黒木の棚には艶も味わいも出てきた。大切なもの、大切にしたい生き方を一冊ずつ集めた、本棚のような家がこの家だと思う。

大切なものだけを、そばに置いて暮らしたかった大切なものだけを、そばに置いて暮らしたかった