暮らす+借景 特集03_白い家 暮らす+借景 特集03_白い家 暮らす+借景 特集03_白い家

家を建てる事は、暮らしを見つめなおす事でした。家を建てる事は、暮らしを見つめなおす事でした。

初めて見た時、たたずまいに心を奪われた。素朴さと温もりが同居するモルタルの外観が、住む人のスタイルを静かに主張する。
家主はこの家の設計者でもある。設計事務所に勤務するご主人が念願の「わが家」を建てたのだ。
「さまざまな建築やインテリア、素材を知っている分、とても悩みました」とご主人は語る。「普段はお客様のご要望を基に形にすればよいが、今回は制約がない。実は制約があった方が設計の取り掛かりや決定材料になるんです」 
わが家を考えるにあたって、何を取り掛かりにするかは自身や家族が大切にしたい生活を振り返る作業だったという。プロでもわがことになると悩むと知り、思わず親近感が湧いた。
夫婦と小さな2人の娘さんの4人暮らし。悩んだ末に見つけた答えは「はやりのデザインや目新しい形」でもなく、その土地や自分の生活に合った「暮らし」から考えることだった。
「自分たちの暮らしに必要な広さは把握していました。家族で過ごすLDKは大きく取る分、子ども部屋などはコンパクトにしました」
3.7帖の子ども部屋は間口と天井高のバランスがよいのか、帖数の割に開放感がある。
暮らしの丈にちょうどよい、どこか居心地のよさを感じる空間を連ねることができたのは、暮らしに向き合い、生活に直結する家具と共に考えられた住まいだからなのだろう。

家具から住まいを考えると、日々の暮らしが見えてきた。家具から住まいを考えると、日々の暮らしが見えてきた。

さて、この家のもう一つのテーマが「借景」である。「リビングの窓から情緒たっぷりの竹林を取り込み、キッチンからは田園の風景が見えるようにしました。帰り道の子どもたちが見えて和むんです」
疲れて、心に元気が欲しいとき。昔からこの地にある自然が住む人の心をほぐしていく。
キッチンは料理好きな奥様が調理に集中しやすいようにクローズドタイプに。リビング・ダイニングとは分かれているが南側に面したキッチンは日当たりもよく、景色もよいので調理中も心地がよい。
床はオーク材を使い、壁は温かみのある白で統一。静けさと温もりが同居するリビングで光と影が刻々とかたちを変える。木陰の下でひと休みしているような居心地の良さがこの家にはある。
「休日は家で過ごすことが増えました。以前は外出がメインの生活でしたが、今はコーヒーを入れて、本を読んだり、子どもと絵を描いて遊んだりという時間を楽しみます」 
何でもない一日を積み重ねる。それが何よりも特別でうれしいこと。自身が見付けた「幸せな家のかたち」はこれからの設計にも生かされていくのだろう。

誰かに見せるための家ではなく、自分たちのための家。誰かに見せるための家ではなく、自分たちのための家。